8時間スタンダップ旅のラゴスの刑 [麗江〜昆明〜深セン]

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中国の一大観光ランド『麗江』からどこに行くか悩んだ末、香港に決定。ここからほど近いチベット自治区に入ることも考えたが、真逆の香港へ行くことにした。僕はビザを持っていないので中国国内に15日しか滞在できない。すでに5日消化してしまっている。ので一度香港に入り滞在可能期間をリセットしてからチベットへ余裕を持って行くプランに。

 

本日のFeeling Radio

記事のBGMにどーぞ。

 

Determinations – 『Crazy』

 

 

中国席取り列車移動

香港へはもちろん列車で行く。ここ麗江からの直通の列車はないので前滞在先である昆明へと一度戻る。これが約8時間。昆明から香港への直通列車もないので、まず香港の玄関口となる深センと言う街に行く。そして深センから香港へ地下鉄やバスでと言う流れ。今回は昆明には泊まらず、昆明で3時間の待ちを経てそのまま乗り換え深センへ。うまいこと乗り継ぎで向かえる。列車移動36時間 + 待ち時間3時間の旅。まずは麗江から昆明へ。

 

 

 

今回も国慶節のため中国国民大移動中で座る席が取れず。立ち席というジャンルのチケットで行く。行きの時と同様に、どうにか補助席さえ確保できれば行ける。はず。チケットも無事に購入し、毎回大げさに見える荷物検査を通って列車を待つ。中国人はこれだけ警戒しないといけない生活ってことなのだろうか。チベット自治区やウイグル自治区などとの軋轢は知ってはいるけどこれほどかと言う印象。

 

 

列車発車時刻が近づきホームに入れる時間となる。すると『ヨーイどん!』て感じで席取り合戦が始まる。目の前が人だかりに変わり、我先にと大荷物を持った猛者どもと競い合いに。このゲームは負けられない。8時間立ちっぱなしは嫌だ。その後の連続移動にも影響が出る。どうにか席を。どうにか。

 

 

刑の執行

負けた。。。やるな中国。。。8時間スタンダップ列車移動の刑が決定してしまった。と言うか行きと違ってアテにしていた補助席がないじゃないか。。。他は全て指定席なので、立ち席を買った時点で負けが決まっていたと言うことか。アテにすると外れる方程式。スタンダップ8時間か。ちょっとした苦行。せめて立っていても居心地のいい場所を確保しよう。車内をうろつきながら探す。

 

 

洗面台の前をうまく陣取ることに成功。ゴミ箱臭がはんなり気になるが致し方なし。他の場所より体の自由スペースが多い。ここで8時間。夜なので車窓からの景色を見てもベタ塗り真っ暗で気が紛れないし、Wi-Fiも飛んでないのでネットで時間を潰すこともできない。こんな時は基本に戻って本。ここはあって良かった『文庫本』で行こう。

 

 

と言うことで現状所持している本を確認。どうやら『一億人の英文法』『森の生活』『旅のラゴス』の3冊。英文法なんて読んだら立ち寝して転んで前歯が折れる。『森の生活』も調査、レポート、思想哲学的な要素が入眠で前歯が折れる。と言うことでベトナムでゲットした唯一の小説『旅のラゴス』筒井康隆著に決定。

 

 

脳内旅行

結論から言えばこの『旅のラゴス』のお陰で8時間スタンダップ列車移動を乗り切れた。苦行にならずに済んだ。筒井康隆様様。ぶっちゃけ僕は本を読む事が苦手。読んで理解より聞いて理解する方が入ってくる。古本とか好きで家に本がたくさんあったりするけど、ちゃんと最後まで読めた本は数冊。不理解、目移り、倦怠など理由は様々。しかも小説が苦手、SFが苦手。。。

 

 

 

なのに『旅のラゴス』は読めた。初めて1日で1冊読めた。それに感動。オレが丸一冊読めるって筒井康隆すごいな。題名通り主人公が旅人と言うこともあり頭に絵が浮かびやすく、世界観に興味を持って読めた。パプリカ同様にアニメーションで映えそうなお話し。主人公が出会いや経験する一つの旅を切り取ったショートストーリーと、生涯を通じた人生と言う旅のロングストーリー的二側面がある。ので筒井さんは本作のアニメ化や映画化を本気で狙ってたんじゃないかとか思ったり。

 

 

『集団移転』や『宇宙船と古代研究』などSF的要素が入るもSF感は強くない印象。この世界観も好きだった。読み進めるうちに、なんとなく頭にちらちら浮かんでた映像があって、それが『或る旅人の日記』と言う加藤 久仁生さんのアニメーション作品。内容はリンクしてないんだけど何故か思い出し映像が脳内にちらちら。脳内旅行。

 

在る旅人の日記 -『加藤 久仁生』

 

この本の中で、村上陽一郎さんと言う科学哲学者が『旅のラゴス』のあとがき/解説部分で旅の定義を語っている。旅とは多かれ少なかれ、異空間への移動であると。日常性から一歩踏み出す事が旅であると。そしてプラトンを引き合いに出し『自己への回帰』と言う旅へと解説は続く。

 

 

「旅を通して異質の日常と出会い、自らの日常性を多くの選択肢の一つであるとし、改めて自らの意思で選択、選び直す作業」

 

 

要するに『問い直し』。それが本来の自己への回帰、自らの生の実現に繋がると言う。言わば自分の使命や宿命のような、各自が持つ人生のテーマの実現、達成を『自己帰還』『自己回帰』『自己実現』と言った言葉で伝えていると思われる。僕の誤読もあるかもしれないが、問い直しはアートの世界だけでなく哲学の世界でも重要な要素という事が分かる。

 

 

『旅のラゴス』の一説で好きなところ。

 

 

『人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。』

 

 

 

 

いやぁ!筒井さんもそちら側でしたか!主人公が旅の末に自分のすべきことに辿り着き、我を忘れて貪り研究するシーンでの言葉。静かで熱い高揚感と幸福感が伝わる。また主人公は『かくも膨大な歴史の時間に比べれば俺の一生の時間など焦ろうが怠けようがどうせ微々たるものに過ぎない』とも。

 

 

昆明から深センへ

でもよく考えると232ページの文庫本を読むのに8〜7時間かかるんだから、僕は相当読むの遅いって言う。でもその遅さのお陰で8時間乗り切った訳で。遅読も悪くない。そして足のパンパン感を携え昆明駅に列車が着いたのが早朝5時半。スタンダップ8時間の刑クリア。やればできるじゃないかオレ。意識を立ちっぱなしの辛さ以外に集中できたのが良かった。どんどん行こう!次は8時50分の深セン行きの列車に乗る。それまで異常に店内の薄暗いマクドナルドで待機。その後再度昆明駅へ。眠し。

 

 

 

その後時間となり深センへと定刻通りに列車は発車した。今回はしっかりと寝台席を確保できた。深センまでは28時間くらい。チケットは約5000円くらいだったかな。山間を縫う様に列車進む。翌日には深セン。そこから楽しみな香港に入っていく。

 

 

 

 

 

 

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