『麻』と『ヘンプ』と『マリファナ』と少数民族の生きる糧 [ベトナム・サパ]

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ベトナム・サパという街の朝はこの時期涼しい。朝7時半。なんとなしに目が覚め、タバコを吸おうと宿の2階部分にある共有バルコにーへ出る。軽い身震い。長袖着ないと寒いかもしれない。目線を上げると眼前に山が広がり、くっきりと、だけどゆっくりと流れる分厚い雲に目が奪われる。自然が近い。

 
 

本日のFeeling Radio

記事のBGMにどーぞ。

Incubus -『Aqueous Transmission』

 

ベトナムの秘境サパ

雨は降っていない。曇ってはいるが清々しい気分。せっかくなので早朝の散歩がてらコーヒーでも飲みに行こうと思い外に出る。サパはフランス植民地時代に避暑地として開発され、現在でも高原リゾートって感じらしい。なので町並みはリゾート感あるカラフルで可愛らしい景観。

 
 
 
 
 
 

街の持つ雰囲気

街の持つ雰囲気は、ある意味ではかなり独特。この可愛らしい景観も雰囲気を高めている要素だが、いちばんの要素はベトナム少数民族と言われるカラフルな衣装で身をまとった伝統や文化を感じさせてくれる人たちが多くいること。
 
 
 
 
 
少数民族には数種類がある。ベトナム北部にあるサパ近隣で代表的な少数民族が、黒モン族、赤モン族、花モン族、赤ザオ族、黒ザオ族、ザイ族などなど。多くの少数民族の方たちがそこらを歩き、民芸品を売り、おしゃべりをしている。民族の違いから喧嘩になったりしないのかな?
 
 
 
 
そんな目新しい世界をキョロキョロしながら、あてもなくただ何となく歩き回る。『あ〜、こっち行くと人が多いな』『あ〜、こっち行くと店がなくなっていくな』そんな大雑把な感覚で気の向くまま気の向く方へ歩いていく。ちょっとづつ頭の中に自分なりの地図をこしらえていく。
 
 
 
 
リゾート地と言われるだけあり綺麗でおしゃれなCafe的お店が多い。ホテル併設だったりしてお値段もそれなり。喫茶店みたいな落ち付けて安い現地店はないかと獲物を喫茶店に定め歩く。
 
 
 
 

雨と坂道とサンドイッチ

するとすぐにポツポツと雨が降り出した。強くなりそうな勢い。たまたまあったベトナムサンドイッチの露天の軒下に会釈しながら入れてもらう。ついでにサンドイッチを注文。雨宿りさせてもらおう。1個100円くらい。朝メシがてらちょうど良いかな。
 
 
 
 
気付けばいつの間にやら次第に雨は強まり、サンドイッチ屋さんの前にある山間ならではの坂道は軽い濁流が生まれ始めている。現在朝の9時ごろ。かなりの雨脚。それでも交通量が多く、人通りも少なくない。現地の人たちは雨宿りなどせず、各自それぞれの独自の方法で雨をしぎ移動していく。
 
 
 
 
子供だってじいちゃんばあちゃんだって御構い無しに歩いてく。坂道も雨も気温も障害物も決して優しくはしてくれない。
 
 
 
 
 
 
 
たまに突然の雨に慌てて走り回っている人もいたりする。傘もカッパも使わずにただずぶ濡れになる選択をして歩く人。走る人。涼しい気候なだけに、風邪引くんじゃないかと少し心配になる。もちろん雨宿りしてる人もいる。
 
 
 
 
 
 
40分ほど雨と、人の動きと、車とバイクの流れをボぉーと眺めるサパの朝。少し雨が収まって来たところでサンドイッチ屋さんにお礼を言って小走りで宿に戻る。まだちょっと雨が降っているけどこれくらいなら問題ない。
 
 
 
 
 
 

サパ少数民族の糧

宿に戻りコーヒーを飲みながらネットをいじり雨が止むのを待つ。1〜2時間もすれば晴れ間が出てくることも珍しくない。高地にあるサパもそれは一緒。この辺りの見どころを検索しながら太陽待ち。案の定しばらくすると日が出て来た。歩いて行ける距離に少数民族の村があるらしいので、そっち方面に歩き出してみよう。
  
 
 
 
 
 
少しいくと山の斜面が見えて来た。こう見るとサパの町自体がかなり高所にある様子。道路の向こうは緩やかに崖になっていて柵はなく、見晴らしはかなり良い。韓国人の大学生らしきグループが景色にきゃっきゃ言いながら写真を撮りあっていた。どれどれと。
 
 
 
 
そこには想像以上に綺麗で優しい風景が広がっていた。こんなすごい景色の中であの少数民族の人たちは暮らしている。今見えているこの山の中で暮らしているらしい。街へ商売に降りて来て、生活は各自の家がある村々で営む。なので毎朝数時間かけて歩いて町に来る人、バイクで来る人、子供や民芸品を背負って来る人、トレッキングやホームステイなどの観光案内のために来る人など様々の様子。そして夜は自分の村に帰っていく。
 
 
 
 
 
 
見とれながらも撮影に勤しんでいると、一人の黒モン族(たぶん)のおばちゃんが話しかけて来た。優しい口調で『どこから来たの?』『名前は?』『サパには何日滞在しているの?』と、綺麗に刺繍の施された民芸品いっぱいに詰め込まれた袋を持って。僕自身が豆腐の行商販売やっていたのもあり、大変ですよねぇ〜なんて思いながら一緒に少し歩く。
 
 
 
『お土産にどう?買ってくれたら私はとてもハッピーだわ!OK?』と、おばちゃんは徐々に販売モードに。その間も同族、異族、多種多様な民族の人たちとすれ違っていく。すれ違うのは女性がほとんど。男性は村で畑をしているなんて言っていた。ミャンマーでもそうだったけど商売は女性の仕事の様子。『ごめんよ!ごめんよ!』言いながら買えないことを伝えるがおばちゃんも商売熱心。
 
 
 
 
きっと商売熱心にならざるを得ないのかもしれない。この時代に生きるベトナムの少数民族たちは、その民族独自の経済観だけでは生活が難しいということ。130年前にやっと地図に載ったと言う秘境の街サパ。今では昔ながらの自給自足だけでなく、現代的な貨幣経済を介して生活を営んでいる。民族衣装を着ていても若い子たちはスマートフォンを持っていたし。支払いは現金でしょうしね。
 
 
 
 

システムの使い方

僕は『エセ(似非)ヒッピー』みたいなモノなので『自給自足』とか『生きる技術』とか『資本主義以外』とかってワードに反応しやすい。見た目もそんなだし。でも徹底できないので肉やラーメンも食うし、お金も多くなくても良いから欲しいし、コミューンとかは気持ち悪い。
 
 
 
 
そんな徹底的にできない僕から見れば良いも悪いも全くない話し。少数民族の人たちが現代で生活する上で必要な貨幣を、自分の持てる技術を使って獲得する行為は尊敬に値する。『お金』は現代を生き抜くためには便利で強力な道具なのは間違いない。少数民族の人たちにとっては、現代システムに飲み込まれたのではなく、現代のシステムを上手く『利用している』と言う発想なんじゃないかと思った。確認はしていないので推測。
 
 
 
 
そんな少数民族の村が見える丘からは、山を切り開いて傾斜を上手く利用し段を連ねる様な畑が広がるのがよく見える。人の手で作られた田舎の風景。僕なんかは高畑勲イズムを受けた世代。日本ぽさもちょっとあるんじゃないかな。伝統や文化、自然を守りながら時代とともに生活形態や生きる技術を変えながら現在まで続いているベトナムの少数民族と言われる人たちがいるトコロ。
 
 
 
 
 
 

『麻』と『ヘンプ』と『マリファナ』

そんなことを考えながらゆっくり宿に戻る。道中、別の黒モン族のおねぇさんが話しかけて来た。『ハロー。どこから来たの?』『名前は?』『サパには何日滞在しているの?』と。そんな観光定型文を交わした後に『チャッチャ!チャッチャ!』と言って来る。
 
 
 
『え?何よ?チャッチャッて?』
 
 
 
と好奇心でおねぇさんが持っている商売袋を覗き込む。おねぇさんは笑顔で『チャッチャ!』と言って隠す様に僕にそれを見せてくれた。それは無造作に透明のビニール袋に入れられた一握り分くらいのマリファナだった。名前からして最初お茶っ葉かと思い匂いを嗅がせてもらい驚いた。他国の様にタクシー運転手や怪しいオヤジではなく、サパでは少数民族のおねぇさんが売り歩いていた。
 
 
 
 
そのおねぇさんはさすがに子供を連れていなかったが、子供がいるだろう年頃のおねぇさん。確かに少数民族の人たちの民芸品や洋服はヘンプを原料とした生地に刺繍をするらしいので産業栽培をしているのかもしれない。麻の繊維以外の部分の有効活用とでも言いましょうか。観光地を上手く利用し、マリファナが好きそうな外国人に笑顔で売って生計の足しにしているのだろう。
 
 
 
 
いつも思う。『麻』『ヘンプ』『マリファナ』はどれも同じ一つの植物を指す名称。『麻』『ヘンプ』と言う名前の時は油、食品、繊維など生活必需品。『マリファナ』と言う嗜好品になると怪しくくすみ、医療品だと賛否が生まれる。名称は数あれ同じ一つのものを指し、国や人、時代によって『良い』『悪い』含め、様々な解釈や価値観が混在した不思議な植物だなと。神話にも出て来るし。
 
 
 
 
 
それが海外に来ると日本よりも遭遇率がぐっと上がる。僕は見た目からしてこの手のお声をよく現地人から持ちかけられる。いらないか?って。好きそうに見えるらしい。これはタイでもカンボジアでもラオスでもあった。どこも一緒なので場慣れてはいるが未だに少しドキッとする。だけど女性にマリファナを買わないかと言われたのは初めてのことだった。売ることにリスクがないことはないはず。少しだけ生きる生々しさみたいなものを感じた出来事。
 
 
 
 
 
そう言えば、ミャンマーと言う国は唯一そちらのお声がかからなかった珍しい国だなとか思いつつ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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